|
駄目な大人と駄目な子ども
何をやらせても駄目駄目のダメツナだったはずの少年はいつの間にかその名を返上し、立派な青年へと成長を遂げていた。
「うわっ!リボーン?!いつの間にそんなに成長したの?」
数年ぶりに会った自分の元教え子は、開口一番そう告げた。
初めて会った時から考えれば確かに驚くべき成長を遂げた自分はしかし、それでも成長期を過ぎた元教え子に遥か及ばず。
リボーンは驚きの声を上げた綱吉を忌々しげに睨み付けた。
「なんだそれは。俺に対する嫌味か。」
以前よりは距離が縮まったとはいえ、頭一つ分の身長差がある相手に背が伸びたと言われても素直に喜べやしない。
「そんなわけないだろ。全くリボーンってば相変わらずだなぁ。」
綱吉は苦笑し、優雅な仕草でリボーンにソファーを勧めた。
「…何年ぶりだっけ?」
「3年半くらいだな。」
「どう?リボーンから見て少しは成長したと思う?」
「………。」
少しは、どころか。ボンゴレ10代目を継ぎ、裏社会の厳しさにどれだけ晒されてきたのか。リボーンの記憶にあった彼の弱々しい印象は覆されてしまった。
綱吉が10代目を襲名して半年はリボーンが身辺の世話をしてきた。 しかし、9代目の依頼も無事完了したのを見届けると、リボーンは自ら綱吉の側を離れたのだった。
それでも電話で話をすることも稀にあったし、彼の部下たちに指示を出すため本部に赴いたこともあった。
けれど図ったように綱吉の予定が合わず、結局3年半もの間二人は顔も見ずにいたのだった。
教え子の立派に成長した姿に感慨深いものを感じ、少しぼぅっとしていると、
「リボーン?」
小首を傾げ、綱吉が覗きこむようにし自分に声をかけた。その表情は本当にこれがマフィアのボスかと疑いたくなるほど幼い。
けれど、その瞳の奥に、以前の彼では考えられないような深い色が滲んでおり、歳月と経験の多さを物語っている。
「ッ…何でもねぇ。おめーもいい面構えになってきたじゃねぇか。」
一瞬の動揺はしかし、上手く押さえ込み。リボーンは不敵に笑う。
その言葉は、かけられた本人には酷く以外だったのか鳩が豆鉄砲を喰らったような面持ちで。
「…うわー……リボーンからそんな言葉が聞けるなんて思ってもみなかったよ…」
少し顔を赤らめ、以前のようにフワッと笑った。
「リボーンはほんとに成長したね。今身長どれくらいなの?」
とりとめのない会話の中で、綱吉が嬉しそうに尋ねてきた。
「165cm…」
「うわっ!もうすぐ抜かれちゃうじゃん!!!」
綱吉はどこか嬉しそうに驚きの声を上げた。
「てめー嫌味も程々にしろよ。どこがもうすぐだ。」
リボーンのむすっとした声色に、わざとらしく怯えながら綱吉は笑って。
「だってリボーンはこれから成長するじゃない。もう俺は成長止まっちゃったから、抜かれるのも時間の問題だよ。」
中学までは成長の片鱗を見せなかった綱吉の体は、高校に入り一気に成長を遂げた。
日々の特訓で鍛えられた体に身長が追いついた彼は、誰もが目を留める立派な成人男性として、今、ここイタリアにいる。
年齢が上がった事による余裕なのか、経験により養われたのか、リボーンとの関係も以前のそれとは少し異なっていて。
以前の綱吉ならば、リボーンをからかうことなど夢にも思っていなかっただろう。けれど今では笑いながら不快ではない程度にからかっている。
それが心地よい事にリボーンは少なからず戸惑いを覚えた。
「ねぇ、ところで、さ。」
綱吉の声色が少し硬くなったのに気付き、リボーンは思考をやめた。
「どうした。」
綱吉のいつになく真面目な、ファミリーのボスとしての表情にリボーンも姿勢を正す。
「…そろそろ戻ってくる気、ない?」
少しだけ躊躇いがちに発せられた言葉は思ってもみないもので。
「…それはファミリーのボスとしての言葉か?」
「確かにファミリーにもリボーンの力は必要だよ。でも…どっちかっていうと沢田綱吉としての言葉のほうが強いかな。」
本当にコレでマフィアのボスが務まるのかと疑いたくなるような幼い笑顔で綱吉は言った。
「俺さ、離れてみてわかったんだ。リボーンが唯一絶対なんだって。そりゃ、前みたいに全面的に頼りきる必要はないし、そんな事しないけど…でも、やっぱり違うんだよ。リボーンがいてやっと俺が俺でいられるっていうか…。」
「…すげー殺し文句だな。」
綱吉の言葉に苦笑いしつつも、リボーンはどこか心が温まるのを感じて。
「ボンゴレ10代目直々の頼みなら断れねぇよな。しょーがねーからダメツナのトコで働いてやるよ、ボス。」
綱吉の言葉を了承した。
「ホント?ありがとう!!」
リボーンの言葉に綱吉は満面の笑顔で感謝の意を伝えた。
「リボーンが戻ってきてくれてボンゴレも安泰だな〜。それに…」
綱吉が嬉しそうに呟いた。けれど言葉尻だけはどこか言いよどんでおり。
「それに何だ?」
リボーンは少し眉を顰めて続きを促す。続きを促されることを予測していたのか、綱吉は大した躊躇いも見せず言葉を継いだ。
「本当は言う気なかったんだけどさ…」
そこまで言うと、綱吉はどこで覚えたのか大人の色気に満ちた、けれど冗談とも取れるような声で、とんでもないことを口にした。
「リボーンって俺の好みなんだよね。もちろん一人の人間として、ね。」
「ぶっ!!?」
先ほどの言葉よりも更に思ってもみなかったそれに、リボーンは盛大に吹きだした。
「うわーリボーンのそんな驚いた顔初めて見たよ!リボーンでも驚くことってあるんだね!!!」
「………」
クスクス笑いながら綱吉はさりげなくリボーンの横へ移動する。
「避けないの?嫌なら逃げないと。ほら俺も無駄に経験重ねちゃったからさ、調子に乗っちゃうよ?」
どこから出しているのか、ゾクリと背筋が粟立つような低く甘い声で囁いた。
その言葉では逃げろと伝えているのに、声や視線は逃がさない意思を表している。
「…お前に後悔はないのか?」
「何で?後悔?俺としてはリボーンを手に入れられないほうが後悔すると思うんだけど。」
クスクスと笑う綱吉からは、ダメツナと呼ばれていたかつての面影は感じられない。
ボンゴレを継ぎ、京子を手に入れ、幾人もの愛人を侍らせて。その視線で次に望むものはお前だ、と語り掛けられれば逃れる術などきっとどこにもないのだろう。
リボーンは少しだけ躊躇った後に、自ら距離を縮め。
「しょーがねーからお前を俺の愛人にしてやるよ。」
軽く口付け、ニヤリと笑った。
+ + + + +
大絶賛スランプかもしれないorz
ちなみにリボツナじゃなくて、ツナリボです。年齢?そんなの知らなーい笑
多分、リボーンが成長期入ったばっかりなんで、14歳くらい?
|