音信不通



国中をフラフラと当て所の無い旅をしている身としては、仕方のないことだろう。けれど。
けれど、とロイ・マスタングは思う。

「だからといって3ヶ月も連絡を寄越さないどころか、居場所すらわからないとはどういうことだ。」
ロイは苦虫を噛み潰したような顔で、デスクに積まれた書類を睨みつけた。

エルリック兄弟が最後に司令部に顔を出した時から既に3ヶ月以上過ぎていた。その時、兄のエドワードの様子が少しおかしかったことももちろん気付いていて。

ロイは正直なところ自分でも認めたくは無かったのだが、エドワードに惹かれていた。もちろん恋愛対象として。それまで美しい女性ばかりと付き合ってきた自分が何故こんな子ども(しかも生意気で礼儀のなってないクソガキ)を、と人知れず悩んだ日々は数知れず。
己の想いを受け入れてからも、この気持ちは決して伝えてはならないと誰にも気付かれないようにしてきたのだ。
だから、それまで己の想いをひた隠しにしてきたロイにとって、エドワードの様子の変化に気付いた時は天にも昇る気持ちだった。
同じ部屋にいる間中感じる彼の視線と、声をかければ普段とはまるで違う反応に、お互いが同じ気持ちであることを確信したのだ。
けれど、だからといって想いを伝える事を許してくれる相手ではなく。加えて言うならば、エドワードはその時まだ自分の中に芽生えた気持ちを自覚しているわけではなさそうだった。ただ、不思議な感覚に戸惑い、どうしていいのかわからないと途方に暮れているようなそんな感じで。
だからロイはあくまでも気付いていない振りをしていたのだ。
エドワードが自覚すればいつでも伝えようと心に決めて。とは決めたものの、本来ロイは我慢が嫌いな人間である。したがって、悠長にあの鈍感な子どもが自覚するのを待っているなどとまどろっこしいことはしない。
自覚の手伝いをしてやろうと、ほくそ笑んだのもつかの間。翌日にはエルリック兄弟は東方司令部から姿を消していたのだった。

そしてその日からエルリック兄弟の足取りはさっぱりつかめなくなってしまった。
普段ならば、こちらが望もうと望むまいとあちこちで一悶着起きて、その流れで居場所が掴める。しかし、今回に限ってエルリック兄弟が絡んだとされる事件が一つも起きていないのだ。
そのためロイとしても強制的に彼らを呼び戻すことも出来ず、ただ悶々と月日を過ごしていたのだった。

「鋼の…君は一体何を考えているんだ…」
机の上にうつ伏せ、ロイは愛しい子どもに想いを馳せる。
「早く帰ってこい…私を待たせた罪は大きいぞ」


ダラダラと机の上でだらけているロイは知らない。
髪やコートに草をいっぱい付けた子どもが、走って司令部の門をくぐったことを。
その後を大きな鎧が慌てて追っていたのを。

「はーがーねーのー早く帰ってこい〜」

ロイの言葉が実現するまでもうあと少し。


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甘ッ!!!!!!!!ごろごろごろごろ
すいませんすいませんすいません。私にはこういうの無理でしたorz